そしてそして勘三郎さん。まさしくエンターテイナーです。スラスラと飛び出す台詞とどこかコミカルな動きを次々と繰り出し、すごい勢いで観客を笑わせていました。勘三郎さん演じる「辰次」というのは相手によってコロコロ言う事変えたり、侍の生き方を馬鹿にしたり、調子良く世の中を渡っていこうとするちょっとズルイやつなんですが、うまくそういう面を出しながらも、最後の方に「生きたい」と必死にあがくあたりでなんだか応援したくなるような「思い」を感じて、ほんと色々な役を演じられるすごい役者さんだな〜と思いました。昔からある演出の「研辰」を見たことはないんですが、なんとなくこの辰次のいう事もうなずける部分がある気がしたのは野田版の演出なのでしょうか?忠臣蔵とか、敵討ちとか、潔い武士の最後とか、確かにかっこよく描かれがちですが、辰次が言うように47人の中に1人くらい、死ぬ事を後悔した人だっているかも知れないですよね〜。もっとのんきに生きたかっただろうに(笑)。あと周りの野次馬たちも、他人事だと思って勝手にあおる。集団が1人の人を追い詰めるようなこういう状況、けっこう現代の社会でも多くあることなのでは・・・。
こんなのは歌舞伎じゃない、と怒る方もいらっしゃるのかも知れません。言葉も現代の言葉でイヤホンガイドいらなかったし、流行のネタも取り入れてたし、役の上で仕方ないのかも知れませんが、確かに見得とかもなかったし、大向こうからの「中村屋ぁ!」の声ももっともっと聞きたかったな、というのも素直な感想です。でも、いくら演出が奇抜でも、ネタが満載でも、ここまでお客さんを惹きつけるにはやっぱり役者さんの「芸」があってこそ。この方たちじゃなかったら、きっとここまで魅力的な舞台にはなってないんじゃ・・・?それに、今は「伝統」となっている演目だって初演は「新しい」ことだったはずですしね。やっぱり歌舞伎って一見難しいところがあるから、こういった入りやすい演出の演目があった方が新しいファンがつきますよね。研辰を見に来た人が、ひょっとしたら義経のかっこよさとか、鷺娘の綺麗さにはまるかもしれないし!兎にも角にも、勘三郎さんをはじめ、出演者のみなさんがお客さんを楽しませてやろうっっていう気迫をもって舞台をつくりあげていたような気がします。う〜ん、満足、満足。また絶対みたい!歌舞伎会入っちゃおうかな〜(笑)。
