10年ほどイギリスで「外国人」やってた身としては、今の選挙前の雰囲気がとても辛い。この感じ、まさに2016年頃の欧米に似てる…。EU離脱選挙の時も政治家が「外国人が悪い」「このままだと乗っ取られる」と煽りまくり、極右の差別発言が堂々とまかり通ってた。それでも、まさか本当に離脱するなんて思わなかったから、自治体ごとの投票結果マップを見た時のショックは今も覚えてる。ロンドンといくつかの主要都市以外は軒並み「離脱」で、その瞬間、国中から「外国人は出て行け!」と叫ばれたような気がした。
翌2017年に本帰国しまして…。もちろん仕事とか家族とか他にも理由は色々ある。でも小さい頃から憧れてて、いつかここで暮らしたいと思ってたその国に対する思いは、なんかその瞬間にプッツリ途絶えてしまって、帰国してからは留学したいって人にイギリスを勧めることはなくなった。少なくとも、ファラージが率いる党が勢いを保ってる今は。
結局みんな自分の頭の中で都合よく「いい外国人」「わるい外国人」を思い描いてるんだろうけど、政治家が「日本人ファースト」のような言葉を使ってしまった瞬間に否応なく「日本人以外の全員」が排除対象になってしまう。悪意を持って入ってくる人なんて、どんなに口汚く罵られても問答無用で入ってくるわけで、こういった政治的レトリックで傷つくのは心から日本のことが好きでこの国に来て、真面目に毎日を暮らして社会に貢献してる人たちなんですよ。
逆に日本の外で暮らす日本人たちも「外国人」として暮らしてるわけだけど、世界中でナショナリズムや排外主義が広まれば、当然排除の対象になる。もしかして「日本人は海外では『いい外国人』だから大丈夫」とか思ってる?
路上でガチの白人至上主義者にヘイトを向けられる経験をしてみてほしいのだが、ああいう人たちって実は「外国人」のことよくわかってない。イギリス生まれイギリス育ちの香港系だった同僚が道端で外国人認定されてたのを見たこともあるし、彼らは多様なルーツを持って生まれてきた人たちについて知る由もない。事実かどうかすら怪しい、SNSで仕入れた情報と印象だけでヘイトを募らせているわけで、相手が実際どんな人間かはあまり関係ない。今なんか、某国の大統領が自分に楯突く人間の国籍を剥奪しようとしているので、排外主義者が権力を握ったら「誰も安全じゃない」と考えるべきかと。
さらに、「民族」とか「血」とかが最優先事項である人種差別主義者の方達は、決まって「女性は家庭に入って(自分たちの民族の)子供をなるべくたくさん産み育てるべき」みたいなこと言い出すので、全ての女性にとっても死活問題だと思う。外国人ヘイトと「女は産む機械」は常にセット。
最後に、欧米の惨状を見るに、今この状況で「日本人はレイシストだから」「日本は人権後進国」みたいな批判をすることには反対。日本だけじゃなくて、世界中で排外主義が力を広めてる。今日本が欧米の2016年あたりにいるとしたら、いかに同じ道を辿らないで済むかを必死で考えるべきだと思う。
