去年、年越しのブログエントリーを年のど真ん中に書いたので、なんだか久しぶりな感じはしないのですが…2025年→2026年の日記です。1月だしまだ書いてもいいよね?
昨年年越しの超絶ネガティブ投稿にも書きましたが、2024年の真ん中あたりから精神的に落ち込む日々は続いていて、今年に入ってからも心の重苦しさは消えません。
この投稿を書いていた1月中も、アメリカのベネズエラ爆撃、SNS上での性的なディープフェイク、ICEが起こした事件、グリーンランドとのやりとり—と、戦後の国際社会が少しずつ発展させてきた秩序が揺さぶられ、暴力や差別、脅しによる支配が正当化される時代になってきているのを感じます。個人的に怖いのは「そういう世界の方が居心地が良い」と包み隠さずに言う人が増えたこと。SNSのアルゴリズムがそう見せているのかもしれませんが、「人権とか主張するのは思想が強すぎる」「気候変動に声をあげる人は怖い人」「女性は家にいるべき、じゃないと少子化は解決されない」「外国人を追い出すのは差別ではなく区別」…など、誇らしげに主張する「普通の日本人」が増えてきていることに強い危機感を感じます。
この状況を作り出すのに一役買っているのがデジタルプラットフォームだという事実も、凹む原因の一つ。一応、私も業界の片隅で仕事をしていて、デジタル技術を通して社会をもっと公平で持続可能なものにしていきたいと思い、デザインに携わってきました。もし、そういう視点が必要とされていないのであれば、この仕事を続ける意味もなくなってしまう…
…このような時代で、今私ができることはなんだろうとまだまだ模索が続いている状態です。
とは言うものの、個人的には一年間、家内安全、健康で過ごせたことに感謝していますし、自分の人生は恵まれている方だと思っています。この先苦しむ人が一人でも減りますように…という願いを込めつつ、個人的なまとめ投稿を書きたいと思います。
Decolonizing Designのその後
まず、数年前から注目してきたDecolonizing design。引き続き考えてはいるのですが、むしろ国際社会には植民地主義的な価値観が戻ってきているような気がして、モヤモヤしてしまい、なかなか考えがまとまらず。
それでも、2025年は関連書籍をいくつか読んだり、金継ぎにトライしてみたり、着物を着る生活を始めてみたりしながら、西洋モダニズム以外に根ざすデザインに触れ、考えのとっかかりをいくつか集めることができたので、今年の目標はそれを言葉にすること!皆様、気長にお待ちください。
2025年に始めたこと
soi.chat
まずはPodcast!2024年に参加させていただいたカンファレンス、Featured Projectsでの「デザイン批評」パネルディスカッションに登壇したメンバーで作っています。
必ずしもデザインだけにこだわりすぎず、「作ると考えるの間で」という大きなテーマを軸に、毎回楽しくおしゃべりしています。これまでの回では、「デザイン『すべきもの』『すべきではないもの』」など少し深めの話から、「働く時どんな環境?」といったカジュアルな話まで、思いついたままに話しています。ぜひ一度聞いてみてください。
The All Design Podcast
2つ目、なんともう一つPodcast始めました!こちらは英語。もともと長く続いているThe All Design Podcastという番組にホストの一人としてジョインしました。
ホストの3名ともデザイナーなので、こちらはデザインとテックに特化した内容が多め。「これからの700日」ということで、各回テーマに関して現在観察できるトレンドと、これからどうなっていくか、などを話しています。これまでのテーマでは、「Webサイトへの回帰」、「所有とサブスクについて」、「エージェンシー」などの内容についておしゃべりをしました。
収録の時はまぁまぁの長さ話しているのですが、編集が終わると10分程度という驚きの短さに!サクッと聞けるのでこちらもぜひみなさん聞いてみてください。
ちなみにどうしても日本語のPodcast収録と比べてしまうので、自分の英語力の足らなさに凹みまくりました。英語力を上げていくことも今年の目標の一つかな…。
TechIE再開しました
さらにもう一つ、色々関わりすぎではないかと自ら心配になってしまうのですが、中断していたTech English Espressoを再開しました。
「英語を練習」という面を少し抑えて、「Tech Inspiration Espresso」という名称に変更しました。内容はそんなに変わらず、オンライン記事や動画を見ながらみんなでサクッとおしゃべりする会です。
一つ大きな変更は、Climate Designers Japanとの共同開催日を設けたこと!2回に一回は「気候変動とデザイン」をテーマに、ワークショップ形式も交えながら開催しています。
「エスプレッソ」という名には「短い時間で濃い内容を!」という願いを込めており、毎回40分間という時間設定をしています。もし気が向いたらぜひ参加してみてください。
さて、ここからはデザイナーではなく個人としての話。実は少しテクノロジー(特にSNS)から離れたくて、仕事をしていない時はアナログな趣味に没頭した年でもありました。
着物を普段着の一部にしたい
中でも1番楽しんだのは「思い立ったら着物をきて気軽に出かけられる体制を整えること」。ロンドン在住のころなど以前から着物は着ていたのですが、最近は少し離れていました。その理由の一つは自分がサイズアップして(!)若い頃着ていた着物や下着がキツくなってきたこと、もう一つは、正絹のものばかりだったのでお手入れが手間だったことでした。
昨年はこの問題を解決すべく、洗える着物や襦袢を誂えたり、それに合わせて帯も買ったり。自分の身体に合った着物を着始めると、コーディネートを考えるのが楽しくなってきます。オフライン、オンライン両方のショップで品物を見ていると欲しいものが増えてしまい財布には痛い年だったのですが、とにかく楽しかった!頑張った甲斐があって、どの季節でも何かしら着られる状態が整いました。
そうそう、昨年は人生初くらいの短いヘアスタイルにしたのですが、これも実は着物のため。私は「自分の髪を(和髪に)結う」という行為が劇的に苦手でして、着物を着る際の一つのハードルになっていました。とりあえず着付けに慣れるまでは髪型を気にしたくないので、これはもう切ってしまえ!と思い切ってみました。
ボブって楽…。髪、めちゃくちゃ早く乾くじゃん…?ということでだいぶ気に入ってます。
10ヶ月かけて器を直す
さてお次は…ずっと気になっていた金継ぎにチャレンジしてみました。お世話になったのは横浜·元町にあるAtelier Fourteen。
つくづく自分の手先の不器用さを実感した10ヶ月でしたが、スマホを触らずに器に集中する数時間というのは、自分にとって貴重な息抜きとなりました。これについてはまた詳しくブログ記事を書く予定!
頭の中を整理しなおす
これらのプライベートでの「プロジェクト」を進めるのに大活躍したのがPARA Method。Tiago Forte著の「BUILDING A SECOND BRAIN」という本を読んで知ったのですが、情報を
- Projects
- Areas
- Resources
- Archive
という4つのカテゴリーに分けて管理するものです。ツール自体はNotionから変えていないのですが、構成を変えるだけでかなり思考がスッキリする。優先すべき事項と、それに必要な関連情報をまとめながら物事を進められるので、かなり気に入っています。これも近いうちに詳細をブログにまとめておきたい。
久しぶりの…
2017年に日本に戻ってきてから、あまり海外からのミュージシャンの公演に行った記憶がないのですが、2025年はその反動のように行きたい公演が目白押しでした。
まずは5月に来日したHans Zimmer。ほぼInterstellerの音楽だけを目当てに行ったのですが、至福の時でした…。
次は7月に来日したLiverpool FC!対戦相手がマリノスで開催地が近かったこともあり、チケット争奪戦をなんとか切り抜けみにいくことができました。リヴァプールは前シーズンにチャンピオンになったばかりで、しかも遠藤が所属していたタイミング。こんな条件で見れることなんてないよ!?長距離の遠征、オフシーズンの試合ということで軽めにプレーしていたのだと思いますが、それでも身体能力の高さ、チームとしての完成度に見入った90分でした。
去年はリヴァプールFCのジョタの急逝、元横浜FCのレアンドロ ドミンゲスの急逝と、大好きだったサッカー選手たちを失ってしまった年でもありました。お二人のご冥福をお祈りいたします。
そして最後は10月に来日したOASIS!大学生の頃、特に初めてイギリスに留学した時にずっと聴いていたバンド。段々と人気が落ちてきて、兄弟が揉めて解散…という流れに私ももうずっと聴いなかったのですが、なんか気がついたら兄弟仲直りしてるじゃん!90年代というもう30年も前に人気だったバンドとは思えないほどのクールさでした。全部歌えたよ。神セットリストだったよ。そしてアホみたいな爆音だったよ。
(こうやって振り返ると遊びまくっているな…。)
もちろん去年も展覧会や歌舞伎もたくさん楽しんだのですが、とりあえずここでは印象に残ったものだけ。
歌舞伎は、一年を通して色々行ったというよりは8月9月に集中して。8月の納涼歌舞伎はなんと3回も歌舞伎座に足を運んでしまいました。
9月は浅草で中村鶴松の自主公演。この2ヶ月間のために頑張って夏に着物をきる準備をしたと言っても過言ではないです。
展覧会も夏以降から。まずは9月に見た、「記録をひらく 記憶をつむぐ」展。これ、今の時代に見ておいてよかった展示だと思います。一応デザインなんて仕事をしているのですが、ここで展示されていた作品は全て戦時中の「メディア」や「アート」。表現が好きで仕事をしていた人たちが、突如戦争のためのプロパガンダを作成しなければならなくなった時代。いったい何を思いながら作品を作っていたのだろうと想いを馳せることになった時間でした。そして、今後似たような状況になったら自分はどうするだろう。
ちなみに先日Blueskyでこんな記事もみかけました。表現が関わる仕事には必然的に社会への責任が伴う。そういうことを考えながら今後も進んでいきたいと思っています。
11月は「フジタから始まる猫の絵画史」に行ってきました。これ、完全に猫に釣られて行ったのですが、奇しくも「記録をひらく 記憶をつむぐ」展に多数登場していた藤田嗣治を中心とした展覧会。戦時中は「ワナビー欧米植民地宗主国」だった日本の国を表すように、ひたすら西洋の真似っこにしか見えない作品を描いていたフジタ。こちらの展覧会で展示されていた猫たちの絵の方がよっぽど生き生きとして見えました。猫が好きな人が戦地で殺し合いの絵を描いていて楽しいわけないと思うのだが、実際、当時彼の心中はどんなものだったのでしょうか。
もう1月も終わりになりますが、2026年…
さて、2026年。今思っているテーマが2つほどあります。
一つ目は「治す/直す」こと。私の中で、2025年は色々なものが壊れてしまった年でした。世界の平和(…はこれまで実現したことはないのかもしれないけれど)もそうですし、世界秩序も壊れてしまった。個人としては、デザイナーとしてデジタル、テックに関わっていく信頼、自信が大崩壊しました。
今年は少しずつ直していきたい。というわけで、メンタル的なこともそうですし、身の回りのことに関しても今年は「直す」ということに着目して生きていきたいと思います。
もう一つのテーマは「発信」。去年は自信がなくなってしまったのと同時に、文章を書いたり、登壇して話をしたりする、ということが全くできなくなってしまった一年でした。今年はもう少し発信できる人間に戻りたいです。
2026年、なんとか世界が平和に近づけますように。
